JR編~久留里線~

久留里線に乗ってみようと思ったきっかけは名前の響きが可愛らしかったからでした。ミュージシャンの「くるり」と何か関係があるのかしら(くるりのボーカル岸田さんは電車好きで有名)、と思っていたのですが、彼らは京都出身であり全く関係ないようです。久留里線はとってものどかなローカル線で、のんびりと車窓を眺めながら乗るもよし、途中下車して街を歩いてみてもよしでちょっとした旅行には最適の路線です。

久留里線について

久留里線(くるりせん)は、木更津市の木更津駅から君津市の上総亀山駅までを結ぶローカル路線です。かつて気動車王国と呼ばれた房総半島に残る数少ない非電化路線(電気を使わずに走る路線)で、千葉県内のJRでは唯一のものです。列車無線が整備されていないため、乗務員との連絡や運転規制の通告は、駅社員を介すというアナログな方法か、衛星携帯電話や業務用携帯電話を使うという方法が採られています。2009年3月14日より全線が旅客営業規則の定める「東京近郊区間」に指定されましたが、木更津駅をのぞき「Suica」などのIC乗車カードの利用は当面できません。

歴史

久留里線は、千葉県が道路事情の悪さをカバーするため、県内各地に建設した県営鉄道の一つで、建設当時は軌間762㎜の軽便鉄道でした。建設工事は大日本帝国陸軍鉄道連隊によって、訓練の一環として行われました。1922年に制定された改正鉄道敷設法別表第48号の予定線に「千葉県木更津ヨリ久留里、大多喜ヲ経テ大原ニ至ル鉄道」が挙げられたことから、1923年に国へ無償譲渡され、鉄道省の久留里線となりました。1930年には、1067㎜への改軌が完成し、1936年には上総亀山まで延伸されましたが、この先へ伸びることはありませんでした。この延伸区間は、太平洋戦争中の1944年に不要不急線として休止され、戦後の1947年に復活するという経緯をたどっています。戦後は京葉工業地帯の通勤客が増えますが、それでも閑散線区の域を出ませんでした。しかし将来性が認められて国鉄諮問委員会による赤字ローカル線廃止勧告を逃れました。

車窓

木更津駅を出発するとすぐに大きく東方にカーブします。しばらくは農地と住宅地が点在する平地を走って行きます。非常に長閑で利用者もあまり多くないため、閑散としています。小櫃川に付かず離れずという感じでしばらく路線は続き、東横田駅からは南方にコースを変えます。徐々に標高は高くなり、起伏が目立ってきます。久留里駅からは山間地に入り、小櫃川沿いの急な流れや急な崖を見ることが出来ます。上総松丘駅から上総亀山駅間では久留里線には2ヶ所しかないトンネルが現れ、終点の上総亀山駅に到着します。

路線の詳細

  • 管轄・・・東日本旅客鉄道
  • 路線距離・・・32.2㎞
  • 駅数・・・14駅(起終点駅を含む。うち、無人駅は11駅)
  • 軌間・・・1067㎜
  • 複線区間・・・なし(全線単線)
  • 電化区間・・・なし(全線非電化)
  • 閉塞方式・・・特殊自動閉塞式
  • 最高速度・・・65㎞/h
  • 運転指令所・・・千葉総合指令室

久留里線の運航

久留里線は平日・土曜・休日ともに共通のダイヤで運行されています。運転本数は朝夕ラッシュ時を含め、1日を通してほぼ1時間あたり1本のペースです。いつ部列車は久留里駅で乗り換えとなります。2014年3月15日のダイヤ改正で日中は木更津駅~久留里駅間の折り返し運転がほとんどになり、久留里駅~上総亀山駅間は日中1本のみの運転となってしまいました。日中は1~2両、朝夕ラッシュ時は2~4両で運転されます。土日祝日および学校の長期休暇シーズンは、ラッシュ時間帯に車両が減らされますが、ハイキングのシーズンの休日は日中でも4両で運転されます。3両以上で運転されるときは下郡駅~上総亀山駅間のホームが短いため、進行方向前寄り2両のみ扉扱いし、3両目以降のドアは開かないようになっています。このため上総亀山駅では折り返しの際、降車終了後いったんドアを閉め、車両を1両半くらい前方へ移動し客扱いを再開するという方法が採られています。

ワンマン運転

2013年3月16日に実施されたダイヤ改正から、久留里線ではワンマン運転が開始されています。対象編成は1・2両編成の列車であり、2両の場合、木更津駅・横田駅・久留里駅を除いた駅では後部に連結された車両のドアは締切となります。このワンマン運転に付いては、国鉄千葉動力車労働組合が批判的な主張を行っており、ワンマンによる運転を取りやめるよう主張しています。同組合によると、ワンマン化に伴い運賃精算やIC乗車カード利用客の対応が要因となる運転遅れなどの影響が品の案に発生するとしていますが、これらの業務はワンマン化前は車掌が行っていたものであることから、運転士や利用客に精神的な負担を強いるものであるとしています。また、ワンマン化の対象にはラッシュ時間帯の列車もふくまれているとしており、同組合は利用客の動向などから特に問題となる夕方の特定列車を具体的に挙げて指摘しています。なお、ワンマン化がなされた列車であっても、それが困難な場合や一部区間では車掌が常務することもあるとされています。この問題は木更津市の市議会でも取り上げられました。市の対応としては安全対策を期すようJRに要請しました。

久留里線の魅力

2012年に開業100周年を迎えた久留里線は昔ながらの温かみのある路線です。以前は国鉄時代から残る車両や、タブレット交換が見られる路線としてその方面の方々には大変人気の高い路線だったそうです。私も以前、ベージュとオレンジのキハ30の車両に乗ったことがありますが、天井に着いた扇風機や外吊りの扉などを見て感激しました。特に電車に興味があるわけでもない私でも凄いなと感心するくらいですから、好きな人には堪らない車両だったのではないかと思います。現在はそういった古い車両は走っておらず黄色と緑のアクセントが印象的なキハE130形100番台が使用されています。また、久留里線と言えば有名なのが、国鉄千葉動力車労働組合によるストライキです。2001年から2010年まで9年連続で行われたストライキは、地元では「春の風物詩」と言われるほど定番になっており、久留里線にも強い影響力を持っていたのですが、近年はストライキが起こってもダイヤに穴をあけることなく平常運転できるようになり、影響力の弱まりが顕著にみられるようになりました。このような特徴から、久留里線に対して昭和のイメージを持つ方も多いかと思います。しかし実際にはストライキの影など感じさせない非常に長閑な路線で、どこまで行っても田畑と山と住宅があるのみというのんびりとした車窓を楽しむことができます。終点の上総亀山駅から歩いて10分程の所には大きなダム湖があり、中々見応えがあります。観光する場所としてはそこくらいのものなのですが、この路線は何も考えずに静かな気持ちで乗っているだけでいいのではないかと思います。ちょっと遠くへ行きたいなと思ったときにはぜひ利用してみてください。